あかんべーで人を見下す絵巻の妖怪

べか太郎

べろり太郎 / ペロリ太郎 / あかんべい

大きな頭がぬっと現れ、指が目の下を引き下げる。赤い裏地、赤い舌。何も奪わず、何も壊さず、ただ「べーっ」と。去った後に残るのは、傷ではなく、なんとも言えない不愉快だけ。

べか太郎の立ち絵

危険度・希少度

D
戦闘力

直接人を害する力は伝えられていない。

C
敵対性

脅かし惑わせはするが、深追いはしない。

S
稀少性

ただ一体、一度きりの怪異として語られる。

概要

べか太郎は、熊本県八代市の松井文庫が所蔵する『百鬼夜行絵巻』に描かれた妖怪。大きな頭で稚児のような姿をしながら、両手で目の下まぶたを下げ、赤い舌を出して「あかんべー」をしている。「べか」とはまさに「あかんべー」を指す語で、その名も姿もこの拒絶と軽蔑の仕草に由来する。

出現

人前にふらりと現れては、両目の下まぶたを指で下げ、裏の赤い部分を見せながら舌を出す。相手を小馬鹿にするような「あかんべー」をして見せ、見た者の気分を損なわせて立ち去る。天保三年に八代で描かれたこの絵巻の一体としてのみ、その姿は伝わっている。

伝承

松井文庫(熊本県八代市)所蔵『百鬼夜行絵巻』に描かれた妖怪で、この絵巻は天保三年(1832年)に尾田淑太郎(尾田郷澄)が図鑑形式で妖怪を並べたもの。江戸期の『百物語化絵絵巻』(1780年)にも同様の仕草の「あかんべい」が見え、性質の詳細は不明とされる。雑誌『太陽』では「べろり太郎」の名でも紹介された。

特徴

大きな頭を持つ稚児のような姿だが、下半身は妙に不確かで整わない。人と向き合うと、両手の指で両目の下まぶたを引き下げ、赤くただれた目の裏を見せつけながら赤い舌を長く突き出す。害を加えるのではなく、この「あかんべー」ひとつで相手を軽蔑し、心をわずかに曇らせて満足する。

べか太郎のカバー画像