憎しみを病に変える沖縄の呪詛

イチジャマ

生邪魔 / イチヂャマ / 生き霊

憎しみは、口に出さずとも相手を蝕む。鍋の中で人形が煮え立つほど、遠くの誰かが床に伏す。

イチジャマの立ち絵

危険度・希少度

B
戦闘力

条件がそろえば、人の命にも関わる。

A
敵対性

人と見れば襲いかかる、強い害意を持つ。

A
稀少性

限られた土地でだけ、まれに語られる。

概要

イチジャマは、沖縄で恨む相手を意識的に呪詛し病や災いをもたらす生霊、およびその呪術を操る者を指す。人形を鍋で煮て患わせたい部位を唱えるといった手法で相手を病気にし、被害は人だけでなく牛馬豚などの家畜や畑の作物にまで及んだと伝えられる。

出現

ある日、突然に激しい頭痛や原因不明の病に襲われる。「誰かに憎まれ、呪われているのではないか」と疑い、家畜が次々と弱り、畑の作物までが枯れはじめる。心当たりの相手はただ憎しみを抱いているだけかもしれない。それでも病は止まず、人はやがてユタのもとへ祓いを求めて駆け込むことになる。

伝承

イチジャマは沖縄県、特に中頭郡一帯に伝わる生霊の総称で、漢字では生邪魔と当てられる。国際日本文化研究センターの怪異・妖怪伝承データベースには一九三四年から一九九六年にかけての沖縄での採録が複数残る。近世には呪術を使ったとして告発された女性が死罪にされた記録も伝えられ、社会的に強く忌避された存在として記録されている。

特徴

術者は人形「生邪魔仏」を鍋で煮ながら、病ませたい体の部位を「頭、頭、頭……」と繰り返し唱えて相手を患わせる。強い憎悪だけでも発動するとされ、被害は人・家畜・作物に及ぶ。術者の多くは女性で、能力は母から娘へ女系をたどって伝わると信じられた。祓いには巫女ユタの祈祷を要し、親指を縛り釘を打つ仕草で生邪魔を送り返すという。

イチジャマのカバー画像