産室から床下へ逃げる亀形の産怪

オケツ

鬼子

生まれたばかりのそれは、泣きもせず、ただ床下の闇へと這っていく。取り逃がせば、次に息絶えるのは母のほうだった。

オケツの立ち絵

危険度・希少度

B
戦闘力

条件がそろえば、人の命にも関わる。

C
敵対性

脅かし惑わせはするが、深追いはしない。

A
稀少性

限られた土地でだけ、まれに語られる。

概要

オケツは、岡山県に伝わる産怪の一種。お産のとき赤ん坊の代わりに生まれるとされる怪異で、「鬼子」とも呼ばれる。亀に似た姿で背には蓑毛のようなものが生え、胎内から出るとすぐ縁の下(床下)へ駆け込もうとする。逃げ込まれる前に殺さねばならず、取り逃がすと産褥の真下に来て産婦の命を絶つと恐れられた。

出現

難産の末、生まれ落ちたのは赤子ではなかった。亀のような、背に蓑毛の生えたものが、産室の床をずるずると這い、まっすぐ縁の下の闇へ逃げ込もうとする。捕えて殺せば事なきを得るが、取り逃がせばそれは床下から産褥の真下へ回り込み、寝ている産婦の命をたちどころに奪ってしまう。

伝承

オケツは岡山県、とくに小田郡あたりで語られた産怪で、埼玉・神奈川の「血塊(けっかい)」とほぼ同系の伝承とされる。医学の乏しかった時代に、流産や死産、異常な出産が怪異として語られたものと考えられている。姿は亀形のほか鬼や蛇でも語られ、地域や語り手によって一定しない。近代の民俗語彙・妖怪事典類に収められている。

特徴

生まれ落ちるとすぐ縁の下へ逃げ込もうとするのが最大の特徴で、この逃走を許すかどうかに産婦の生死がかかる。積極的に人を襲うというより、逃げ延びた結果として産婦の命を奪うと語られ、素早く捕えて殺すことが唯一の対処とされた。血塊の伝承地・浦和では、出産時に縁の下を屏風で囲って逃げ場をふさぐ風習もあったという。

オケツのカバー画像