美女に化けて人に憑くアイヌのアザラシの精霊

コシュンプ

コシンプ / コシンプウ / ルルコシンプ / イワコシンプ

斑のアザラシを捕らえた夜から、夫は人が変わった。妻がマサカリを構えて待つと、闇に踏み入る者があり、手ごたえとともに片腕が地に落ちた。翌晩、絶世の女が夢に立ち、腕を返してと泣いた。海へ来い、海へ来い。潮の声で歌う女に、男はやがて連れ去られていく。

コシュンプの立ち絵

危険度・希少度

B
戦闘力

条件がそろえば、人の命にも関わる。

B
敵対性

縄張りや禁忌に触れた者を積極的に襲う。

A
稀少性

限られた土地でだけ、まれに語られる。

概要

コシュンプ(コシンプ)は、樺太・北海道のアイヌに伝わる精霊で、動物が人間の異性に懸想して憑くもの。海のアザラシが化けたものをルルコシンプ、山のキツネのものをイワコシンプと呼ぶ。絶世の美女の姿で現れ、憑いた者の生活を狂わせて死に至らせることもあれば、好きな男の憑き神となって良い運命へ導くこともある、善悪二面の存在である。

出現

オホーツク海岸から樺太にかけて、斑のある美しいアザラシとして海辺に現れる。これを捕らえた者や見初められた者に取り憑き、やがて絶世の美女の姿を見せる。北見斜里の伝承では、アザラシを捕らえた夫に憑いて人柄を変え、これを退けようとした妻の前に夜、美しい女として姿を現したという。

伝承

コシュンプの伝承はオホーツク沿岸から樺太、北海道内陸まで広く記録され、更科源蔵の著作や萱野茂『自然と文化』(1984年)、金田一京助全集などにアイヌの伝承として伝わる。水木しげる『妖怪大全』は、明治初期に老婆イペランケが語ったとされる北見斜里の物語を紹介している。

特徴

動物が人間の異性に懸想して憑くという性質を持ち、憑く相手により海のルルコシンプと山のイワコシンプに分かれる。人前では絶世の美女に化け、憑いた者を数年のうちに衰弱させ死なせるとされる一方、意中の男には憑き神として幸運をもたらす。害と守護の両面を併せ持つ。

コシュンプのカバー画像