山に棲む河童の子、猟師をからかう山童
セコ
セコ / せこ / 山童 / ヤマワロ / 山わろ
山の暗がりで、遠く木を伐る音がする。近づけば音は逃げ、代わりに小さな手が袖を引く。ホイホイと獣の声色でおまえを谷へ誘い込むのは、川を捨てて山に登った河童の子ら。鰯の匂いだけが、彼らを夜の底へ追い返す。
概要
セコは、鹿児島県を除く九州地方と島根県隠岐諸島に伝わる、山に棲む河童の一種。二、三歳ほどの子供の姿をした山童で、山中で人の手足を引いたり山仕事の音を真似たりといたずらを働く。夏は川、冬は山に暮らし、春秋の彼岸に住処を移すとされる。
出現
山中で人けのない山道や山小屋のまわりにあらわれる。姿は見えないことも多く、まず「ホイホイ」という声や、木を切り倒す音、石を転がす音として気配を知らせる。山へ猟に入った者の手や足をふいに引き、獣の鳴き声を真似ては猟師を惑わし、道に迷わせるという。
伝承
セコは、鹿児島県を除く九州地方と島根県隠岐郡に伝わる山童(ヤマワロ)系の妖怪で、河童が山に登った姿とされる。今野円輔『日本怪談集 妖怪篇』や村上健司『妖怪事典』、千葉幹夫『全国妖怪事典』などに各地の伝承が採録され、名は狩猟で獲物を追う勢子(せこ)の掛け声に由来するとされる。
特徴
セコは山と川を季節で行き来し、春秋の彼岸に住処を移す。山中では大工の真似をして木を打つ音を立て、山小屋を揺すり、獣の声色で猟師を惑わす。その通り道に家を建てると家を揺すぶられる。鰯を苦手とし、「鰯をやるぞ」と脅すか、鉄砲を鳴らすか、読経して「今夜は俺が悪かった」と詫びれば障りを免れるという。