夜光る潮に潜む、船を止める魔

ムラサ

暗い波の底で、何かが丸く固まって光っている。近づけば、パッと散る。艪は重く、船は進まない。刀を、竿の先に。

ムラサの立ち絵

危険度・希少度

C
戦闘力

驚かせ、転ばせる程度。命までは取らない。

C
敵対性

脅かし惑わせはするが、深追いはしない。

A
稀少性

限られた土地でだけ、まれに語られる。

概要

ムラサは、島根県隠岐の都万村に伝わる海の怪異。ニガシオと呼ばれる夜光虫の光る潮の中に丸く固まって光るものとして現れ、船が近づくと不意に散る。取り憑かれた船は速度を失って進めなくなるという。

出現

隠岐の都万村、那久・油井・津戸の沖合を夜に船で行くと、ニガシオ(夜光虫の光る潮)の中に丸く固まって光るものを見ることがある。船を近づけるとパッと散り、暗い海が突然明るく光ることもある。これに取り憑かれると、艪を漕いでも船足が鈍り、進まなくなるという。

伝承

隠岐郡都万村の伝承として大島正隆が『沿海手帖』に記録し、大藤時彦「海の怪異」(柳田國男編『海村生活の研究』日本民俗学会、1949年)や民俗学研究所編『綜合日本民俗語彙』に引用された。那久・油井・津戸の三集落に限られた伝承で、今日ではほとんど知られていない。

特徴

姿は定まらず、夜光虫の光る潮の中で丸く固まった光として現れる。船に取り憑くと艪の力を吸い取るように船足を鈍らせ、いつまでも前に進ませない。刀か包丁を竿の先に結び、艪のあたりの海面を左右に幾度も切ると、憑いた力が絶たれて船は再び進めるようになるという。

ムラサのカバー画像