鏡のように光る、夜の川の隻眼

一つ目の大坊主

舷を洗う波の音に混じって、まぶたのない目がひとつ、鏡のように光る。棹を振り上げれば消える程度の脅しだと、誰が決めた。夜の川に船を出すときは、忘れずに櫓を手元に置いておくことだ。

一つ目の大坊主の立ち絵

危険度・希少度

D
戦闘力

直接人を害する力は伝えられていない。

C
敵対性

脅かし惑わせはするが、深追いはしない。

A
稀少性

限られた土地でだけ、まれに語られる。

概要

一つ目の大坊主は、防州岩国(現・山口県岩国市)に伝わる妖怪。夜の川に船を出し、まどろもうとした主人と付き人の前に、大きな一つ目の顔だけを突如現す。目は鏡のように光り恐ろしいが、水棹や櫓を振りかざして立ち向かうと、忽然と姿を消したという。

出現

ある主人が付き人を連れて夜の川に船を出し、明け方まで船上でまどろもうと、羽織を布団代わりにかけて横になった。そのとき突然、前方に大きな一つ目の顔だけがぬっと浮かび上がったという。

伝承

大坊主は、日本各地の民俗資料や古書に見られる、身の丈数メートルに及ぶ僧形の巨大な妖怪の総称としても用いられ、江戸期の寺院や僧侶への不信感がこうした妖怪像を生んだとする見方もある。岩国の一つ目の大坊主も、そうした大坊主譚の一つに数えられる。

特徴

夜の川面に浮かぶ船の前に、大きな顔と鏡のように光る一つの目だけをぬっと突き出す。声を発することもなく、ただ恐ろしい形相で人をおびえさせるが、実体を持たないのか、水棹や櫓を振りかざして立ち向かわれるとあっけなく姿を消してしまう。

一つ目の大坊主のカバー画像