「だまっていよ」で消える、屋敷の一つ目
一つ目小僧
一つまなぐ
「これ、いたずらもいい加減にしなさい」——たしなめた声に、子供がゆっくりと振り向く。額の真ん中、ただ一つの目がこちらを見た。「だまっていよ」。それだけ言って、子供は消えた。
概要
一つ目小僧は、額の中央にただ一つの目を持つ坊主頭の子供の姿をした妖怪。江戸期の怪談から今日の郷土伝承まで日本各地に広く語られ、屋敷や夜道に不意に現れては人を驚かせるだけで、大きな危害を加えることはほとんどない。
出現
江戸四谷に住む鶉売り・喜右衛門は、麻布の武家屋敷で待たされているうちに、掛け軸を何度も巻き上げては落とす子供に出くわす。いたずらを見咎めると、子供は「だまっていよ」と振り向いた。その顔には、目がただ一つしかなかった。屋敷ではこの怪異が年に幾度も繰り返されるという。
伝承
古い記録としては、宝暦年間(1751〜1764年)の怪談集『怪談老の杖』に、この麻布の屋敷の話が収められている。柳田國男が山の神の零落した姿とする説を唱えるなど、単眼の妖怪としては日本で最も広く知られる部類に入る。
特徴
額の中央に大きな一つ目を持つ、坊主頭の子供の姿。掛け軸をいじる、菓子を無断で食べるなど他愛ないいたずらをし、見咎められると「だまっていよ」の一言を残して姿を消す。関東では旧暦2月8日・12月8日の事八日の夜に家々を回り、戸締りや行儀の悪さを帳面に記して回るとも伝えられる。