河童に相撲を挑まれ続ける怪異
一人相撲
河童は数を頼む。ひとりを倒せば、また一体。二体を倒せば、また二体。相撲取りの倅よ、お前の得意技はここでは通じぬ。夜が明けるまで、土俵が尽きることはない。
概要
一人相撲とは、河童に相撲を挑まれ続け、傍目には一人で暴れているように見える怪異、またはその状態を指す言葉。大分県日田郡三隅川で水浴び中の子供が河童にいたずらされ、夜ごと相撲をとらされて正気を失いかけた話が代表例として伝わる。
出現
夏の川辺、殊に子供が水浴びをする夕暮れ時に起こる。水中で悪戯を受けた者が相手を懲らしめると、その夜から河童が現れ始める。家に連れ帰られても門の外に向かって独り言のようにわめき続け、周囲には河童の姿が見えないまま、幾度も相撲を挑まれ続ける。
伝承
寛永年間の古書『川太郎伝』や地誌『日田郡誌』に、豊後国日田(現・大分県日田市)の三隅川を舞台とする河童相撲譚として伝わる。白糸嘉右衛門の子・正吉が水浴び中に河童の群れから相撲を挑まれ続け、姿の見えぬ相手に一人で暴れる状態を「一人相撲」と呼んだ。修験者の祈禱によって正気に返ったとされる。
特徴
単独ではなく数十匹もの群れで現れ、力自慢の者ほど執拗に狙う性質を持つ。二、三匹までは撃退できても、入れ替わり立ち替わり挑んでくるため体力も正気も奪われていく。人の目には河童の姿は映らず、当人が一人で暴れ狂っているようにしか見えない。