二つの恨みを抱いたまま、山伏は火となって棟にとどまる。

二恨坊の火

恨みは一つでは足りなかった。生きて一つ、死してもう一つ。二つの火は、今も棟の上でくすぶっている。

二恨坊の火の立ち絵

危険度・希少度

B
戦闘力

条件がそろえば、人の命にも関わる。

B
敵対性

縄張りや禁忌に触れた者を積極的に襲う。

A
稀少性

限られた土地でだけ、まれに語られる。

概要

摂津国二階堂村(現・大阪府茨木市)に伝わる怪火。人の顔のように目鼻口が浮かぶ火の玉で、殺された山伏の怨念が形を変えたものとされる。大きさは1尺ほどで、人に直接危害を加えることは少ないと伝わる。

出現

3月から7月ごろの曇った夜、二階堂村の家々の棟や木の枝先に、この火がふわりと止まる。近づいても燃え移ることはなく、見上げる者たちはただ、屋根の上に浮かぶ人面の火を遠巻きに眺めるしかなかったという。

伝承

『諸国里人談』には、村長の妻の病を治した山伏日光坊が、密通を疑われて殺され、その怨みが火となって現れたとある。一方『本朝故事因縁集』(1689年)は、一生に二つの恨みを抱いた山伏が死後「二恨坊」と呼ばれ、その邪心が火の玉になったと記す。

特徴

夜の空を鳥のように飛び回り、恨みを買った家の棟に居着く。ただ現れるだけで人に直接手を下すことは少ないとされるが、伝えによっては、恨んだ相手の家に取り憑いて病を負わせ、命まで奪ったとも語られる。

二恨坊の火のカバー画像