谷底に隠された掟の異郷
信濃の別界
三日のあいだ、猟師は谷の底で何を見たのか。里に戻ってからも、彼はその話をつい誰にも語らなかった。
概要
谷底にある隔離された別世界。外部の侵入者を殺す掟がある。猟師が迷い込み、三日かけて帰還した。
出現
松本領内の深い山中、獣道を外れて霧に巻かれるように谷を下りていくと、外の世界から切り離された谷底の集落にたどり着くという。迷い込んだ者は、そこに暮らす人々の掟に従うほかない。
伝承
外部との行き来を固く禁じた集落が山中にあり、掟を破って侵入した者は殺されるという伝承である。一方で、迷い込んだ猟師が三日をかけて生きて元の里へ戻ったとも語られ、山中で異境に踏み込むという「隠れ里」伝説の系譜に連なる話である。
特徴
住人たちは、掟を破った侵入者を容赦なく葬る一方、存在と場所を口外しないという条件を課したうえで解放することもあったという。迷い込んだ猟師が谷底から持ち帰ったのは、そこで何を見たかを語らないという固い沈黙だけだった。