比叡山の池に潜む人食い緋鯉
大鯉
池の底で光るものを、鯉と侮ってはならない。
概要
比叡山の池に棲み、暴れて女子供を食い殺したという金色に光る巨大な緋鯉。若き日の武蔵坊弁慶――幼名・鬼若丸によって退治されたと伝わる。
出現
遭うのは山中の古池のほとり。水底から異様な光が立ちのぼり、身の丈七尺を超える緋鯉が水面を破って躍り上がる。近づいた女子供が呑まれ、池は人の寄りつかぬ魔所と化していた。
伝承
西塔で修行する少年僧・鬼若が、池の主として人を害する大鯉を短刀一つで討ったと語り伝えられる。歌川広重『義経一代記図会』は、鬼若が七尺余の緋鯉を捕らえ、湖水へ続く杭瀬川へ放ったと記す。弁慶一代記の名場面として浮世絵に繰り返し描かれた。
特徴
水底で金色に輝き、身の丈は七尺を超える。ふだんは深みに潜むが、人影を認めると水面を割って躍りかかり、丸呑みにする。巨体にみなぎる膂力は凄まじく、並の大人では到底抑えきれない。
武蔵坊の大池に妖怪住みて荒れ果てし
義経一代記図会