尻の目で人を驚かす裸の怪
尻目
しりめ / ぬっぺり坊主
目も鼻もない、のっぺらとした男。逃げようとした背に、なぜか強い視線を感じてふり返れば――こちらを見据えていたのは、剥き出しの尻で爛々と光る、たったひとつの目だった。
概要
与謝蕪村の『蕪村妖怪絵巻』に描かれた妖怪で、顔には目も鼻もなく、代わりに尻に大きな目が一つある。その目は稲妻のように光るという。京都・鴨川あたりの夜道に現れると伝わる。
出現
夜更けの京の道を行くと、一人の男がぬっと立ちはだかる。のっぺりとした顔に目鼻はなく、やにわに着物を脱いで裸になると、こちらへ尻を突き出す。その尻の割れ目で、大きな目玉がぎらりと光るのだ。
伝承
絵巻の詞書には「ぬっぺり坊主」と記され、目鼻のない顔と、尻に開いた一つ目を持つ姿が添えられる。脱いだ衣を小脇に抱えて裸で立つその図は、俳人が戯れに写した京の夜の怪異として伝わっている。
特徴
人を害する力はなく、もっぱら尻の光る目を見せつけて驚かすだけの悪戯者。突然の奇怪な姿に腰を抜かす者はいても、傷つけられたという話は伝わらない。とぼけた見た目に反し、闇夜に光る一つ目は、不意を突かれれば十分に肝を冷やす。