山と川を去来する、九州の山の童
山童
やまわろ / やまわらわ / やまんもん / 山ん太郎 / セコ
約束した握り飯は、握り飯でなければならぬ。一粒でも違えてみろ——山の童は牙を剥き、二度とお前の斧を助けはしない。
概要
河童が秋に山に入り変化したもの。山仕事を手伝ってくれるが、約束事に厳しい。春には再び河童に戻る。
出現
秋の彼岸を過ぎた九州の山中、樵や炭焼きが仕事をしていると、柿色の毛に覆われた子供のようなものが木陰から現れる。握り飯や酒を差し出せば喜んで受け取り、大の男でも動かせぬ材木を軽々と運んで手伝ってくれる。ただし墨壺で地面に線を引いておいた仕事場には、決して近寄ってこない。
伝承
『和漢三才図会』は、山童を九州の山奥にすみ、十歳ほどの子供の姿で頭に柿褐色の長い毛を生やし、人の言葉を話すものと記す。河童が季節ごとに山と川を行き来してこの姿になるという去来の伝えは西日本一帯に及び、熊本では「やまんもん」「山ん太郎」など土地ごとに多くの呼び名がある。
特徴
子供ほどの背丈ながら大人を上回る力を持ち、頼めば木の伐り出しや荷運びを黙々と手伝う。礼は最初に約束した握り飯や酒でなければならず、違う物を渡すと激しく怒り、先に渡せば食べて逃げてしまう。大工道具の墨壺を嫌い、墨で線を引いた場所には近寄らない。妖怪絵巻では一つ目の姿でも描かれる。