塩を乞う一本足の山の主

山精

塩をひとつまみ、岩の上に。翌朝、そこには山鳥が二羽。――損な取引ではあるまい。ただし壺ごと持っていかれた朝もある。逆さの足跡は、来た道ではなく、帰った道を指している。

山精の立ち絵

危険度・希少度

D
戦闘力

直接人を害する力は伝えられていない。

D
敵対性

人への害意はなく、時に福さえもたらす。

B
稀少性

各地に類話はあるが、遭うには条件がいる。

概要

中国の『抱朴子』などに記される山の妖怪で、一本足に踵が逆向きという異形をもつ。杣人の塩を盗み石蟹を炙って食う一方、塩を恵まれると獣を礼に置いていくともいい、山の獣を統べる山の神めいた性格をあわせもつ。

出現

深山で炭を焼き木を伐る者のもとへ、日が翳るころに現れる。小屋を覗き込んで塩をねだり、与えれば喜んで去り、盗めば夜のうちに塩壺を空にする。翌朝には戸口にサワガニや山鳥が置かれ、昨夜の来訪者からの礼と知れる。

伝承

晋の葛洪『抱朴子』登渉篇や『玄中記』『永嘉記』に載る山の怪で、身の丈一尺ほど、足は一本きりで踵が前後逆につくとされる。杣人の塩を掠め、石蟹を炙って塩で食らうと伝わり、『永嘉記』では角なき鬼、山鬼の名でも記される。

特徴

人の言葉を解し、塩ひとつに敏く反応する。害意は薄く、礼を欠かさぬあたり山の獣を差配する主にふさわしい。ただ一本の足で険しい斜面を苦もなく駆け、踵が逆を向くため足跡はいつも人の去った方角を指し、後を追う者を惑わせる。

山精のカバー画像