殺生を戒める淵の主

岩魚坊主

「この辺りで漁は、およしなされ」。長話の坊主に飯を分けてやった。翌日、腹を裂いた大岩魚から、そっくりその飯が出てきた。――淵の主は、二度は言わぬ。

岩魚坊主の立ち絵

危険度・希少度

B
戦闘力

条件がそろえば、人の命にも関わる。

C
敵対性

脅かし惑わせはするが、深追いはしない。

A
稀少性

限られた土地でだけ、まれに語られる。

概要

岐阜県東濃の川に伝わる、大岩魚が坊主に化けた妖怪。淵の主として釣り人や毒もみをする者の前に現れ、殺生をやめるよう諭す。後に釣れた大岩魚の腹から、坊主に振る舞った飯が出てきたという筋で、『想山著聞奇集』などに記される。

出現

谷川の淵で釣り糸を垂れ、あるいは毒を流して魚を根こそぎ捕ろうとする者のもとへ、どこからともなく一人の坊主が現れる。この先は寺の領分ゆえ殺生は控えられよ、と穏やかに長話をし、飯など振る舞われれば礼を言って川上へ帰ってゆく。

伝承

美濃国恵那郡(現・岐阜県中津川市・恵那市)に伝わり、江戸後期の随筆『想山著聞奇集』に「イハナ坊主に化たる事」として記される。坊主を帰したのち大岩魚が釣れ、腹を裂くと先に振る舞った飯が出てきて、坊主の正体がその岩魚であったと知れたという。

特徴

百年を経た大岩魚が淵の底に潜み、めったに姿を見せない。ひとたび棲み処に毒を流されようとすれば人に化けて現れ、まず言葉で殺生を戒める。忠告を無視して毒流しを強行すれば態度は一変し、毒気を発して仕掛けた者に祟り、命を奪うことさえあるという。

岩魚坊主のカバー画像