娘に化け「アラヤ」と返す川辺の獺
川獺
カワウソ / 獺 / おそ
「アラヤ」と娘は答えた。人ならばそうは言わぬ。碁盤縞の裾から、濡れた尾が一寸だけのぞいていた。
概要
各地の川辺に棲む獺が齢を経て妖力を得たもの。二十歳ほどの娘や碁盤縞の着物の子供に化け、誰何されると人の「オラヤ」に対し「アラヤ」と頓珍漢に答える。憑かれた者は元気を失うとされる。
出現
夜の川辺や田の畦道に、道を尋ねる娘や子供として現れる。北陸・紀州・四国では河童の一種とも見なされ、水辺で人を化かす。声をかけると要領を得ぬ返答をよこし、正体を悟られると水音を残して姿を消す。
伝承
能登地方では、獺が二十歳ほどの美女や碁盤縞の子供に化け、人が「オラヤ」と答えるべき問いに「アラヤ」と答え、どこから来たか問えば「カワイ」などと答えたと語られる。柳田國男が『妖怪談義』の妖怪名彙に採録し、各地の獺の化け話を紹介している。
特徴
水を潜り魚を捕る獣でありながら、長く生きたものは人・僧・入道に化ける術を得る。人を殺めるほどの害はなく、道を惑わせ、憑いて気力を奪う程度にとどまる。青森では生首、仙台では大入道に化けたとも伝わる。