娘をたぶらかし、坊主に化ける年経た水の主

怪井守

水面に映る若者の顔が、堀の底ではぬめる黒い背に真っ赤な腹。娘よ、その契りの相手は、六匹まとめて堀からさらい出される井守なのだ。

怪井守の立ち絵

危険度・希少度

B
戦闘力

条件がそろえば、人の命にも関わる。

B
敵対性

縄張りや禁忌に触れた者を積極的に襲う。

A
稀少性

限られた土地でだけ、まれに語られる。

概要

年を経た井守(イモリ)が化けたとされる妖怪。これはと思う娘を見つけると若者に化けて誘惑し、真っ黒な大坊主に化けて臭い息を吹きかけ、人を前後不覚にすることもある。

出現

普段は水の中にすむが、目当ての娘の前には若者の姿で現れ、なかには夫婦の契りを交わす場合もある。新潟県の佐渡では、何百年も空き家だった屋敷に、三メートルもの真っ黒い坊主として出た。夜、寝ている家族のもとへやってきて臭い息を吹きかけ、嗅いだ者を酒に酔ったように前後不覚にさせたという。

伝承

井守が化けるという話は日本にも中国にもあり、若者に化けた井守と契った娘はやがて挙動がおかしくなる。家族が祈禱師に見せて「井守にたぶらかされている」と分かると、勇敢な武士がこれを退治した。佐渡の屋敷では、怪しんだ堀をさらって二メートル近い井守を六匹見つけ、すべて殺すと、二度と怪異は起こらなかったと伝わる。

特徴

強い毒を持つことを示すためか、黒い体に真っ赤な腹という毒々しい色をしている。深山の渓流のほか里にも普通にいて、春には集団で繁殖する。年を経て大きく育ち化ける力を得たものは、若者や大坊主へ姿を変えて人を惑わし、あるいは臭気で害すると考えられた。

怪井守のカバー画像