晴れた日にだけ山に立つ、天気を司る精
日和坊(ひよりぼう)
よく晴れた日、山の端に僧形の影が立つ。だが空に雲がひとつ湧けば、次に目をやったときには、そこにはもう、誰もいない。
概要
常陸国の山中に棲むとされる、晴天を司る妖怪。空がよく晴れた日にしか姿を現さず、雨の日には決して見えないという。鳥山石燕が『今昔画図続百鬼』に描き、山に立つ僧形の姿として今に伝わる。
出現
出会えるのは、深く晴れわたった日の山中に限られる。雲が垂れこめ雨気が満ちれば、その姿はふつりとかき消える。天候の移ろいを人に先んじて示す者として、山に暮らす人々から仰がれた。
伝承
鳥山石燕は、てるてる坊主を軒に吊るして晴れを願うのは、この妖怪の霊を祀る名残であると解説に記した。晴れを乞い、日和を授ける精霊を敬うという素朴な天気信仰が、その背後にうかがえる。もっとも石燕の書のほかに確かな伝承の報告はなく、その姿の多くを石燕の記述に負っている。
特徴
晴天そのものを司る精とされ、空が青く澄みわたる日にだけ山に立つ。雨気が兆せば、その姿は隠れて見えなくなる。人の営みを左右する日和を握る者ゆえ、敬い祀る者には快晴を授けると信じられ、また日照りを呼ぶ者として畏れられもした。