奪われた獲物の恨みで、死してなお一家を滅ぼす
狐の祟り
きつねのたたり
たかが雉一羽。されどその一羽に、狐は面子を懸けていた——奪えば、家ごと祟られる。
概要
死んだ雉を拾った農民の家を巡り、死後に祟って一家を離散させた。
出現
現れるのは、雪の降りしきる夜である。一匹の狐が悲しげにギャンギャンと鳴きながら、農家のまわりを夜通し回り続ける。朝になって家人が戸を開けると、その狐は家の前ですでに息絶え、冷たく横たわっている。
伝承
伝えによれば、治郎兵衛という農民が山中で死んだ雉を拾って帰ったことに始まる。その雉は、狐が眷属を招いて開く宴に供するはずの獲物だった。奪われた狐は返してもらおうと家を鳴き回るうち雪で命尽き、面子を潰されたまま死んで、一家に祟ったのだという。
特徴
生きて牙を剥くのではなく、死してのちに祟るのがこの狐の恐ろしさである。恨みは獲物を奪った一軒に集中し、不幸を次々と呼び込んで一家を離散へ追い込む。宴を台無しにされた面子への執着が怨念の源とされ、食べ物の恨みの深さを物語る。