闇に響く主なき囃子
狸囃子
近づけば遠のく囃子。追った先で夜が明け、あなたはどこにいるのか分からない。
概要
深夜にどこからともなく太鼓の音が聞こえる現象。狸が打つ腹鼓とされる。
出現
町が寝静まった夜更け、どこからともなく太鼓や笛の囃子が湧く。音は大きくなり小さくなり、聞こえる方角も時とともにあちらこちらへ移ろって、鳴っている場所がついにつかめない。本所界隈で幾たびとなく人を惑わせたと伝わる。
伝承
江戸の本所に伝わる本所七不思議の一つで、馬鹿囃子とも呼ばれ、狸の打つ腹鼓の仕業と説かれた。平戸藩主松浦静山も音を聞き、人をやって源を探させたが、割下水のあたりで掻き消えたという。千葉・木更津の證城寺にも同種の狸囃子が語り継がれる。
特徴
囃子を奏でて人を惑わすのを得手とし、笛・太鼓・三味線を重ねたような音で夜の町を渡り歩く。源を確かめようと近づく者があれば逃げるように遠ざかり、決して姿を見せない。音に釣られて追う者を朝まで歩かせ、夜が明ける頃には見知らぬ場所へ導いてしまう。