夜道に浮かぶ巨大な女の首
生首
ナマクビ
夜道でふと、生あたたかいものが頬をなでる。見上げれば、家ほどもある女の首が、にたりと笑ってこちらを嘗めていた。
概要
巨大な女の生首。夜道で人を嘗めて驚かす。欲深い心の迷いが見せるとも言われる。
出現
山谷あたりの夜道を行くと、闇の中にぬっと大きな女の生首が浮かぶ。声もなく近づいて、通りかかった者の顔や体をべろりと嘗めて驚かす。多くはお歯黒をつけた既婚の女の顔で、雨あがりの晩や、月の出かかった刻に現れやすいという。
伝承
江戸の頃、夜空や塀の上に巨大な女の首が現れたという話は各地の随筆や怪談に多く残る。『岩邑怪談録』は御城山で一丈ほどの女の生首に笑いかけられた話を、『三州奇談』は金沢に現れた大首を伝える。その正体は、慾や執心といった人の断ちがたい想いが迷い出て、大きな首の形をとったものだと説かれた。
特徴
首だけで宙に浮かび、音もなく間合いを詰めて長い舌で人を嘗めまわす。掴みかかっても手ごたえがなく、斬りつければふっと消えるが、命までは奪わないとされる。狐狸が化けたものとも、成仏できぬ女の首ともいわれ、見る者の後ろ暗い心を映して大きさを増すのだという。