疱瘡を招く墓荒らしの妖婆
疱瘡婆
ほうそうばば / ほうそうばばあ
墓の上の大石が、朝には脇へ転がっている。白髪の影は、次の死人を待っている。
概要
疱瘡婆は、宮城県に伝わる巨大な妖婆。死人を食うために疱瘡を流行らせるとされ、墓を暴いて死体を奪い食うと恐れられた。顔が赤く白髪で、身の丈は一丈にも及ぶという。
出現
疱瘡が村に広がり、病死者が相次ぐ頃に現れるとされた。夜、埋めたばかりの新しい墓のあたりに立ち、土を掘り返す音を響かせる。重い石を据えて封じても、いつのまにか脇へ動かされている。人里離れた山の方から、こちらをうかがっているとも噂された。
伝承
只野真葛の随筆『奥州波奈志』に、宮城郡七ヶ浜村大須の話として記される。文化年間の初め、疱瘡が大流行して墓荒らしが続いた際、名主が三人の子の墓を大石と銃を持つ猟師に守らせた。夜、土を掘る音に猟師が忍び寄ると、怪物は木々をなぎ倒して逃げ去り、以後墓荒らしは絶えたという。
特徴
疱瘡を自在に流行らせて人を病死させ、その死体を食らうために夜ごと墓を暴く。十数人がかりの重石を軽々と動かすほどの怪力を持ち、人が迫れば大木をなぎ倒して逃げ去る。その姿を見た者は恐ろしさのあまり気を失い、何を見たのか語ることさえできなかったという。