刃も矢もはね返す山の巨獣
百足
おおむかで / 大百足 / ムカデ
山ひとつを七巻き半。放つ矢はことごとくはね返される。残る矢はただ一本――藤太は静かに、その鏃へ唾をつけた。
概要
山奥の穴に住む数十メートルの巨大百足。人をさらうため火攻めで退治された。俵藤太の伝説でも知られる。
出現
深い山の洞穴を塒とし、夜になると里へ這い下りて人や家畜をさらうと恐れられた。胴は山を何重にも巻くほど長く、うごめく無数の脚が松明の火を鈍く照り返す。あまりの巨躯に、遠目には山肌がひとりでに波打つように見えたという。
伝承
各地に伝わる大百足退治譚のうち最も名高いのが、俵藤太(藤原秀郷)の三上山の大百足退治である。近江・瀬田橋で龍神の娘に請われた藤太は、山を七巻き半する大百足に矢を射るが硬い皮膚にはね返される。最後の一矢に唾をつけ、八幡神に祈って放つと、矢は眉間を貫いて大百足を倒したという。
特徴
全身が鎧のように硬く、並の刃も矢もたやすくはね返す。弱点は人の唾で、唾を含ませた鏃で急所を突けば倒せると伝わる。また火を嫌うといい、塒の穴へ火を放つ火攻めが退治に用いられた。多くの脚で俊敏に這い、暗く湿った穴を好む。