夜の木の下に響く算盤の音
算盤坊主
そろばんぼうず / 算盤小僧 / そろばんこぞう
叱られた小坊主は、答えの合う夜をいまも数えている。ひとつ、またひとつ——珠を弾く音だけが、カヤの木の闇に残った。
概要
京都・亀岡の西光寺周辺に伝わる怪。夜、大木の陰で姿を見せぬまま算盤を弾くパチパチという音だけを立て、通りかかった者を驚かす。小坊主の姿で語られるが、実際は音のみで人前に現れないともいう。
出現
現れるのは夜更けの人気ない道や寺社の境内。西光寺の傍らに立つカヤの木の下や、隣接する素盞嗚神社の大木のもとに、午前一時ごろ気配が立つ。近づいても、暗がりから算盤をはじく軽やかな音だけが聞こえてくる。
伝承
伝承では、計算を得意とした小坊主が計算を間違えて和尚に叱られ、寺のカヤの木で首を吊って命を絶ち、その霊が夜ごと算盤を弾くのだという。一方で、西光寺開山の萬安英種が幼い頃に人知れず勉学へ励んだ姿とも、狸の仕業ともいい、正体は一つに定まらない。
特徴
決して人前に姿を見せず、音だけでその在処を知らせる。丑三つ時を好んで活動し、静まりかえった闇のなかで珠を弾く音がひときわ際立つ。通る者を驚かせはするが、危害を加えたという話は残らず、ただ夜ごと計算を続けるばかりである。