納戸に潜み赤子をさらう老婆
納戸婆
掃除にと戸を引けば、暗がりの奥で何かが動く。ホーッ——その声を聞いたら、床下へ消える影を追ってはならない。
概要
納戸の戸を開けると現れる。子供をさらってしまう恐ろしい面もある。
出現
家人が納戸を掃除しようと足を踏み入れた拍子に、奥の暗がりから飛び出してくる。西日本一帯で語られる怪で、現れるや否や縁の下や床下へ素早く逃げ込む。庭箒で叩けば追い払えるというが、香川県の東部では生まれたばかりの赤子をさらうとも恐れられた。
伝承
納戸は家の奥まった収納や寝所であり、西日本ではしばしば納戸神を祀って家や家族の守り神とした。納戸婆はもとその納戸神が零落した姿とも説かれる。岡山県では頭の禿げた老婆が『ホーッ』と声をあげて現れ、庭箒で叩き出すと縁の下へ逃げたと伝わる。香川での子さらいは山姥との混同によるとの説もある。
特徴
薄暗がりに身を隠し、人が踏み込むまでじっと息を潜めている。戸を開けた者の目の前に躍り出て脅かし、追われれば床下へ逃げ込む俊敏さを持つ。地方によっては赤子を抱えて連れ去るともいい、庭箒はこの老婆を退ける数少ない手立てとされる。