風もなく紙を舞わせる怪

紙舞い

神無月、神々の留守を狙うように、証文が一枚、また一枚、誰の手も借りずに宙を舞いはじめる。

紙舞いの立ち絵

危険度・希少度

D
戦闘力

直接人を害する力は伝えられていない。

C
敵対性

脅かし惑わせはするが、深追いはしない。

B
稀少性

各地に類話はあるが、遭うには条件がいる。

概要

神無月に現れる。風もないのに紙が舞い飛び、やがては室内の道具すべてが舞うポルターガイスト現象。

出現

風のない静かな室内で、神無月のころに起こるという。初めは机上の紙が一枚、二枚とひとりでに舞い上がり、証文や書付が持ち主の手を離れて宙を泳ぐ。やがて舞うものは紙にとどまらず、部屋じゅうの道具までが浮かび上がって乱れ飛ぶ騒ぎになる。

伝承

紙が独りでに舞う怪異には、天保のころ、強欲な金貸しの手もとから証文がことごとく舞い去ったという類話が伝わる。よく知られる挿絵は、実は江戸期の怪談『稲生物怪録』の一場面に由来し、備後三次の稲生平太郎の家で鼻紙がひとりでに飛んだ出来事を描いたものである。そのため、紙舞いを独立した妖怪と見てよいかは疑問も残る。

特徴

みずから吹く風を起こすでもなく、紙という軽いものだけを選んで宙に躍らせる。初めは数枚が舞う程度だが、勢いを増すと文机の書付から屏風、調度に至るまでを巻き込み、家の内を騒がせる。人を傷つける力はなく、片づけても片づけても紙が舞い続けるのが厄介だという。

紙舞いのカバー画像