凶事を告げて手招きする、蔓のように細長い手
細手
細手長手 / ほそで
襖の隙間から、蔓のように白い手がこちらを招く。応じてはならぬ——だが、その手が伸びた晩には、もう水がすぐそこまで満ちている。
概要
襖の隙間や鴨居から現れる蔓のように細く赤い手。座敷童子の一種とされるが、津波や洪水が起きる凶兆とされる。
出現
泊まり客が奥座敷で身を横たえていると、神仏を祀った隣室との境で異変が起こる。襖や長押の陰から、蔓のように細く長い手がすっと伸び、招くように指を動かすのだ。その手が現れた家は、応じても応じなくても、ほどなく津波や大洪水に見舞われ、家財のすべてを失うと語り継がれてきた。
伝承
座敷童子と同じく家の吉凶を告げる存在として、遠野地方で語り継がれてきた。ある旧家では、神仏を祀った奥座敷から細長い手が伸びて客を手招きし、その客が去ったのち津波で家が流された。同じ村の別の家では、長押から二尺(約六十センチ)ほどの赤い蔓のような手が垂れ下がるのが見つかり、やはり津波で一切を失ったという。吉兆に現れた例もあるとされるが、伝わる話の多くは災いの前触れである。
特徴
常に見えるのは手だけで、本体の姿を現すことはない。手は三、四歳の子供のように赤く、あるいは白く細く、腕だけが尋常でなく長く伸びる。人を傷つける力は語られず、ただ黙して招くのみだが、その手が下りた家には必ずと言ってよいほど水の災いが訪れる。難を避けよという警めなのか、破滅を告げる凶兆なのか、意図は今も定かでない。