七里に響く霊木の名琴
船板の琴
船は朽ちても、木は歌をやめなかった。焼け残りの一片が、七里の夜を震わせる。
概要
伊豆の献上船「枯野」の焼け残った船板でつくった琴。その音色は非常に優美で遠方まで響き渡ったとされる。
出現
宮廷の宴などで奏でられたと伝わる。ひとたび弦を掻き鳴らせば、その澄んだ音は海を越えて七里の先まで届き、聞いた者は誰が弾いているのかと沖を振り返ったという。
伝承
日本書紀によれば、伊豆国が献じた快速船「枯野(からの)」は老朽して用をなさなくなり、武庫の水門で焼かれて塩とされた。その焼け残りの船板で琴を仕立てると音が遠くまで響いたため、天皇が歌に詠んだという。古事記は免寸河の西の巨木から造った船とし、この話を仁徳天皇の代に置く。
特徴
名高い快速船の霊気を宿すといい、弦を弾けば、由良の門の海石に触れてそよぐ海藻のように、さやさやと澄んだ音を立てるとうたわれた。その響きは山を越え海を渡ってどこまでも伸び、常の琴の届かぬ遠さまで音を運ぶとされる。