雨の夜、蓑にまとわりつく熱のない怪火

蓑虫火

蓑虫 / 蓑虫の火 / みのむしび

払うな、慌てるな。袖に灯った青い火は、騒ぐ手を面白がってふくれ上がる。熱くもない、焦げもしない。ただ雨の夜、蓑を着た者にだけ、そっと寄り添って燃えている。

蓑虫火の立ち絵

危険度・希少度

D
戦闘力

直接人を害する力は伝えられていない。

C
敵対性

脅かし惑わせはするが、深追いはしない。

B
稀少性

各地に類話はあるが、遭うには条件がいる。

概要

小雨の降る晩、夜道や舟の上で、蓑や傘、衣にまとわりつく蛍のような怪火。払えば払うほど勢いを増して全身を包むが、少しも熱くない。信濃川流域を中心に語られ、近江の「蓑火」と同じ系統の怪異とされる。

出現

出会うのは決まって小雨のそぼ降る晩である。蓑をまとって夜道を行く者や、川面を渡る舟の上に、ふいに蛍火のような小さな火がともる。大勢の連れがいても、火は憑かれた一人にしか見えないことが多く、この状態を里では「蓑虫に憑かれた」と呼ぶ。

伝承

秋田県仙北郡、新潟県中蒲原郡、新潟市、三条市などに伝わり、蓑虫・蓑虫の火・蓑虫火などと呼ばれる。とりわけ信濃川の流域に多い怪火である。その正体をめぐっては、新潟県ではイタチ、三条市では狐の妖術と語られ、近江国彦根に伝わる「蓑火」と同系統の現象として知られている。

特徴

火は蓑や衣にとりつくと、慌てて払うほどにかえって数を増し、勢いづいて全身を覆ってしまう。だが炎に熱はなく、着物を焦がすこともない。騒がず落ち着いて、マッチなどで別の火を灯すか、そのまましばらく待てば、憑いた火はやがて音もなく消え去るという。

蓑虫火のカバー画像