嫉妬が宿り蛇と化す女の帯

蛇帯

たたんだ帯の、しんと冷たい絹の光。昼は帯、夜は蛇。胸に嫉妬が兆すたび、絹の一筋はひそかに鱗を数えて、想い人の寝首へ、七重にめぐる夢を延ばしていく。

蛇帯の立ち絵

危険度・希少度

B
戦闘力

条件がそろえば、人の命にも関わる。

B
敵対性

縄張りや禁忌に触れた者を積極的に襲う。

B
稀少性

各地に類話はあるが、遭うには条件がいる。

概要

鳥山石燕『今昔百鬼拾遺』に描かれた帯の妖怪。嫉妬する女の帯が蛇へ変じるという含意を持ち、「邪心」と「蛇身」の語呂合わせをもとに絵解きされたものと考えられている。

出現

女が寝入ったあとの閨に現れる。脱ぎ捨てられ、あるいは枕元に置かれた帯が、するすると鎌首をもたげて一匹の毒蛇となる。想いを寄せる相手や、嫉妬の的となった男の寝間へと這い進み、その首や胴へ幾重にも巻きついて締め上げてくるという。

伝承

石燕がこの妖怪の典拠としたのは、中国・晋代の博物誌『博物志』の「人、帯を敷きて眠れば蛇の夢を見る」という一節である。日本でも愛媛などに、枕元へ帯を置いて寝ると蛇の夢を見るという俗信が伝わる。図には、嫉妬する女の三重の帯が七重にめぐる毒蛇にもなる、との解説が添えられている。

特徴

ふだんは一筋の帯として畳まれているが、持ち主の女が嫉妬や執心を募らせるほど、蛇としての力を内に蓄えていく。夜半、本体が寝入ると帯だけが抜け出し、細く長い胴で標的を絞め上げる。朝には何食わぬ帯へ戻り、持ち主自身も己の帯の仕業を知らぬままだという。

蛇帯のカバー画像