嫁入り道具に宿る這子の妖
貝児
かいちご
蓋を開ければ、二枚と揃わぬ貝の中から、たった一人の子が這い出てくる。
概要
貝合わせの貝を納める貝桶から、這子人形のような幼い姿で現れるとされる付喪神。鳥山石燕が妖怪画集『百器徒然袋』に描いたもので、母から娘へ受け継がれてきた嫁入り道具に長い歳月が宿ったものと解される。
出現
数百年にわたり家に伝わった古い貝桶のそば。蓋を開いた貝合わせの席や、使われぬまま蔵に眠る道具箱のあたりで、二枚と揃わぬ貝殻の間からいつのまにか這い出ているという。
伝承
石燕は『百器徒然袋』に貝児を載せ、「この貝児は這子の兄弟にやと、おぼつかなく夢心に思ひぬ」と記した。明確な民間伝承は伝わらず、嫁入り道具として重んじられた貝桶と、幼児をかたどる這子人形とを重ね合わせた図として描かれている。
特徴
貝殻から生じるため人を害する力はなく、産着をまとった赤子のごとく無邪気に這い回るのみとされる。雅な遊びの道具を宿とし、幾代もの持ち主の手を経た古い調度ほど、この幼い妖を生みやすいという。