道をたがえさせる見えざる神

迷わし神

見慣れた辻を三度過ぎて、ようやく気づく。さっきから歩いていたのは、自分の足ではなかったと。

迷わし神の立ち絵

危険度・希少度

D
戦闘力

直接人を害する力は伝えられていない。

C
敵対性

脅かし惑わせはするが、深追いはしない。

A
稀少性

限られた土地でだけ、まれに語られる。

概要

京都府向日市寺戸町に伝わる、人を道に迷わせる神。姿は見えず、これに憑かれると勝手知った道でも同じ場所をぐるぐると回り続け、行き先を見失うという。夜道をゆく旅人がその餌食になりやすいと恐れられた。

出現

夕暮れから夜、この地を急ぐ旅人や帰り道の者が、知らぬ間に取り憑かれる。歩いても歩いても見覚えのある辻や木立へ舞い戻り、同じ景色のなかをいつまでも巡らされてしまうという。

伝承

同じ所を巡って道から出られなくなるのを「迷わし神に憑かれた」と言い伝えた。人を惑わす神という古い観念に連なるもので、上田秋成『雨月物語』にも『心の臆れたるときは必ず迷はし神のおそふ』と語がみえる。各地に類話がある。

特徴

実体を持たず、気配だけで人の足に取り憑く。憑かれた者は方角の感覚を奪われ、円を描くように歩いて振り出しへ戻される。とりわけ夜道や見通しの悪い辻で人を捉え、行き先を見失った者を長く同じ場所に留めるという。

迷わし神のカバー画像