夜道で背に覆いかぶさる正体不明の怪

おいがかり

比婆の夜道は暗い。足音は自分のものだけ——のはずだった。ふいに、背に重みが落ちる。ふりむいても、そこには何もいない。ただ、肩にのしかかる冷たさだけが、確かにある。

おいがかりの立ち絵

危険度・希少度

C
戦闘力
C
敵対性
A
稀少性

概要

おいがかりは、備後国の比婆郡地方(現在の広島県庄原市あたり)に伝わる正体不明の妖怪。夜道を歩いていると、後ろから覆いかぶさってくるという。姿ははっきり見えず出現も夜とされるため正体はつかみにくく、覆いかぶさる以外の性質は分かっていない。多くは人を驚かす程度で、命に関わることは少ないとされる。

出現

夜、比婆郡あたりの道をひとりで歩いていると、背後から不意に何かが覆いかぶさってくる。姿はよく見えず、いつどこから来るとも知れない。得体の知れないものが背にのしかかれば誰でも驚かずにはいられず、ショックで寝込む者もあったと語られる。

伝承

備後国比婆郡地方の伝承として伝わる妖怪で、柳田國男『妖怪談義』(1956年)などに言及がある。背後から負ぶさる「おばりよん」の一種とされ、佐渡の衾や愛知県佐久島の布団かぶせなど、夜道で頭や体に覆いかぶさる各地の怪異と同系統に位置づけられている。

特徴

夜道を行く人の背後に、姿を見せぬまま音もなく覆いかぶさる。相手を驚かせ、のしかからせて動きを封じるのが主な振る舞いで、多くは驚かす程度にとどまる。ただし同系の衾や布団かぶせは顔や頭を覆って窒息させるとも伝わり、覆いかぶさられた者が息苦しさに苦しむ危うさも秘めている。