家に憑いて願いを叶える犬の憑き物
犬神
いぬがみ / 犬神憑き / インガメ / イリガミ
その家に見込まれてはならない。夜、覚えのない高熱に胸を掻きむしるころ、目には映らぬ小さな獣が、もうお前の懐に入り込んでいる。
Overview
犬神は、西日本、とりわけ四国に色濃く伝わる犬の霊の憑き物。飢えさせた犬の首から作られると語られ、特定の家系『犬神筋』に代々憑くとされた。その家の者に見込まれた相手へ乗り移り、病や苦しみをもたらすと恐れられた。
Encounter
憑かれるきっかけは、犬神持ちの家の者に恨まれ、あるいは羨まれることだといわれた。取り憑かれた者は原因の分からぬ高熱に苦しみ、胸や手足が痛み、犬のように吠え、恐ろしいほどの大食いになる。徳島では、死後の体に犬の歯型が残るとも伝えられた。
Lore
作り方は、犬を頭だけ出して埋め、食物を前に飢えさせ、餓死しようとする寸前に首を切って焼き、器に納めて祀るのだと語られる。平安の昔から動物霊を使う蠱術として恐れられ、文明4年(1472年)には阿波国へ『犬神使い』の探索と処罰を命じる下知状が出された。
Traits
目に見えぬ小さな犬の霊で、犬神持ちの家では家族の数だけ棲みつき、人が増えれば数も増えるという。主人の意を受けて相手に取り憑き、内側から食い荒らす。子孫へ世代を追って受け継がれ、離れることがないため、その家筋との縁組は忌み避けられてきた。