笑い返せば付きまとう濡れ髪の女
濡れ女子
ぬれおなご / 濡女子 / 笑い女子
濡れた女がにたりと笑う。つられて笑い返したが最後、その影は生涯、あなたの背から離れない。
Overview
濡れ女子(ぬれおなご)は、長崎県の対馬・壱岐などに伝わる妖怪。海や沼から全身びしょ濡れの女の姿で現れ、洗い晒したような濡れ髪を垂らして立つ。出会った者にニヤリと笑いかけることから、笑い女子(わらいおなご)の別名でも呼ばれる。
Encounter
雨の降る夜などに、海辺や沼のほとりで不意に行き会う。全身から水を滴らせた女がこちらを見て、にたりと笑いかけてくる。つられて笑い返してしまえば、それが運の尽き。以後どこへ逃げても、この女が執念深く付きまとうようになるという。
Lore
対馬では、雨夜に全身濡れた女の怪物が出ると古くから言い伝えられてきた。濡れ女子は、下半身が蛇体の濡れ女や、九州北部に広く伝わる磯女と同じ、水にまつわる女の妖怪の系統に連なる。古い画集や文献に典拠を持つというより、離島の暮らしのなかで語り継がれてきた怪である。
Traits
姿そのものに人を害する力があるわけではなく、恐ろしいのはその執着である。ひとたび笑みを返した相手を、生涯にわたって離れず追い続ける。笑い返さずにやり過ごせば難を免れるともいうが、濡れそぼった髪と身なりのまま、どこまでも付いてくるさまが何より人に恐れられた。