ガジュマルに宿る漁の精霊

キジムナー

ブナガヤー / セーマ(精魔) / キムナー / ケンムン(奄美) / ミチバタ / アカガンダー / マンダー(石垣島)

浜に片目のない魚が揚がったら、それはキジムナーの食べ残し。赤い顔の毛玉のような子が、夜ごと漁に誘ってくれる――船は魚であふれ、暮らしは豊かになる。ただし、うんざりして木に火をつけたその日から、そいつは友ではなくなる。屋根から立つ火は、たいてい誰かの別れの合図だ。

キジムナー figure art

Danger and Rarity

B
戦闘力

条件がそろえば、人の命にも関わる。

C
敵対性

脅かし惑わせはするが、深追いはしない。

C
稀少性

広く知られるが、日常で出遭うことはまれ。

Overview

キジムナーは、沖縄本島に伝わるガジュマルの古木の精霊。ブナガヤー、セーマとも呼ばれる。赤ん坊ほどで全身毛むくじゃら、赤ら顔の子どもの姿。漁が巧みで、友になれば船が魚であふれるが、魚は片目だけを抜き取って食べる。タコ・屁・熱い鍋蓋を嫌い、宿る木を焼かれ釘を打たれると去り、報復する。

Encounter

夕暮れの海辺や山の端に、提灯のような火を持って歩く小さな影がキジムナー。旧暦八月十日は妖怪日で、家の屋根から火が上がれば死の予兆とされた。ガジュマルの古木のうろに棲み、気に入った漁師を毎晩海へ誘い出す。友になれば魚は捕り放題だが、その代わり夜ごと連れ出され、精を吸われて痩せていくともいう。

Lore

佐喜眞興英『南島説話』(1922年)や島袋源七『山原の土俗』(1929年)に、木の精と友になり魚を得るが縁を切ると富が去る物語が記録される。18世紀編纂の『遺老説伝』にも同型の復讐譚があり、数百年来の伝承と分かる。地域によりブナガヤー、ケンムン(奄美)など多くの別名を持つ。

Traits

ガジュマルなど古木のうろに宿り、人と隣人のように暮らす。夜は火を灯して海山を行き、抜群の腕で魚を捕るが、獲物は左目だけをえぐって食べるので必ず片目がない。富をもたらす一方、タコ・屁・熱い鍋蓋を極端に嫌う。宿り木に釘を打たれ火をかけられると死ぬか転居し、裏切った相手には家を焼き目を潰す報復も辞さない。

キジムナー cover image