海で死んだ者の魂、津軽の亡者

モンジャ

モジャビ / モレビ / モジャ

台所の板間で、ぱたぱたと音がする。着物についた砂を払う音だ。次に流しで、ザーッと水音がする。手を洗っているのだろう。振り向いてはいけない。ただ椀に水を一杯、そっと満たしておけばいい。誰にも弔われなかった者に、必要なのはそれだけだ。

モンジャ figure art

Danger and Rarity

D
戦闘力

直接人を害する力は伝えられていない。

D
敵対性

人への害意はなく、時に福さえもたらす。

B
稀少性

各地に類話はあるが、遭うには条件がいる。

Overview

モンジャは、青森県津軽地方の海岸部に伝わる怪異。海で死んだ者の魂が家に帰ってくることをいい、名は「亡者」を意味する。取り憑かれた者は激しい悪寒と震えに襲われるという。

Encounter

ある夜、いきなり全身に水をかけられたような悪寒に襲われ震えが止まらなくなった者は、モンジャに取り憑かれたと祈祷師(ゴミソ)に告げられることがある。北津軽郡小泊村(現・中泊町)では、浜で火を焚くとモンジャが火にあたりに来るといわれ、遭難者の遺族が浜で火を焚くと、伝承のとおり現れたという。

Lore

呼び名は地域により異なり、東津軽郡石崎では「モジャビ」、西津軽郡舘岡村(現・つがる市)では「モレビ」、同郡鰺ヶ沢町では「モジャ」とも呼ばれる。津軽の民俗学者・森山泰太郎が1965年に著した『津軽の民俗』(陸奥新報社)に、これらの伝承がまとめて記録されている。

Traits

誰にも弔われず浮かばれない無念から、水一杯を欲して人に取り憑くのだという。家に上がり込むと、台所の板の間で着物についた砂を払い、流し場でザーッと手を洗う水音を立てる。

モンジャ cover image