霧と洪水で城を守る、堀の主

ヤナ

霧が濃くなったら、もう城は見えない。黒雲が空を覆い、風が唸り、水があふれる。敵はどちらを向いても同じ闇。矢を放つ先すら分からない。堀の底で、主はただ静かに息をひそめている。この城を、渡す気はない。

ヤナ figure art

Danger and Rarity

C
戦闘力

驚かせ、転ばせる程度。命までは取らない。

B
敵対性

縄張りや禁忌に触れた者を積極的に襲う。

S
稀少性

ただ一体、一度きりの怪異として語られる。

Overview

ヤナは、埼玉県川越市の川越城にまつわる妖怪。城の泥深い外堀に古くから棲む「主」とされ、城が敵に攻められて危機に陥ると、霧と魔風で辺りを暗くし、洪水を起こして敵の進路を惑わせ、城を守ったと伝わる。この言い伝えから、川越城は「霧隠城」の異名でも呼ばれた。

Encounter

川越城の三芳野天神の下にあった外堀は、伊佐沼の水と底の方で通じていたという。この泥深い堀に大昔から主が棲んでおり、人々はこれをヤナとよんでいた。城が敵に攻められて危なくなり、敵が堀まで迫ると、たちまちヤナが現れるといわれていた。

Lore

川越城は1457年(長禄元年)、扇谷上杉氏の家宰・太田道真、道灌父子によって築かれたと伝わる。ヤナについては、道灌がこの主を利用して城を築いたのだろうという説があるが、これは水の主すなわち水神の類とみられ、霧を吹くという城の「霧吹きの井戸」の伝承とも通じるものがあるとされる。

Traits

霧を吐いて雲を呼び、魔風を吹かせてあたりを闇夜のように暗くする力を持つ。しかも洪水を起こして水を氾濫させ、攻めてきた敵に天守閣のありかも方向も分からなくしてしまうという。城内には「霧吹きの井戸」と呼ばれる井戸もあり、普段は蓋をしておき、敵が攻めてきたときに蓋を取ると、もうもうと霧を吹いて城を隠したという。

ヤナ cover image