梁の上で逢瀬を重ねる人面の妖獣

一軒家の妖獣

見上げれば、梁の上にもう一匹。悲鳴を上げても、獣たちはこちらを一瞥もしない。人の家など、彼らにとってはただの止まり木にすぎないのだろう。番だけの夜が、天井のすぐ上で、今夜も静かに続いている。

一軒家の妖獣 figure art

Danger and Rarity

D
戦闘力

直接人を害する力は伝えられていない。

D
敵対性

人への害意はなく、時に福さえもたらす。

S
稀少性

ただ一体、一度きりの怪異として語られる。

Overview

ある家の梁を伝って夜な夜な現れる、人面で毛むくじゃらの獣。番(つがい)で行動し、人間には関心を示さず、頭上で逢瀬を楽しむだけだという。危害を加える気配はなかったが、正体を知れぬまま気味悪がった夫婦は、早々にその家を引っ越したと伝わる。

Encounter

夜更け、家人が寝静まった頃になると必ず梁の上に現れる。ある家では丑三つ時に目を覚ました妻が梁を見上げて悲鳴を上げ、震える妻の視線を追って夫が起き出すと、人面で毛むくじゃらの獣がいた。さらに少し離れた場所にもう一匹、番の相方も潜んでいたという。

Lore

「一軒家の妖獣」は、水木しげる『妖怪大全』に収録された、屋敷の梁に現れる人面の獣を伝える一項目である。古典文献における出典や各地の類話の分布は確認できず、境港妖怪検定の出題範囲に含まれている以外に、成立の経緯や伝承地を示す独立した資料は見つかっていない。

Traits

全身を毛で覆われた獣の体に、人間のような顔を持つ。決まって家の梁を棲み処とし、番(つがい)で示し合わせたように現れては、人の頭上で逢瀬を交わす。人間には関心を向けず、危害を加える気配も見せない。何が住みつくか知れぬ天井裏と同じく、人には計り知れない行動と性質を持つ、家の中にひそむ異界の獣とされる。

一軒家の妖獣 cover image