焚けば死者が煙に浮かぶ香
反魂香(はんごんこう)
香炉から立つ一筋の煙——その先に、もう一度だけ会いたかった人の輪郭がある。
Overview
焚くと死者の姿が煙の中に浮かび上がるという香。微量を焚くだけで疫病死者すら蘇らせるとも伝わり、亡き李夫人を偲んだ中国古代の故事に由来するとされる。
Encounter
帳や幕の向こうに焚かれ、その煙越しにだけ死者の面影が見えるとされる。近づいて確かめようとすれば姿は消えてしまい、香が燃え尽きるまでの短い間、ただ煙の中の面影を眺めることしかできない。
Lore
前漢の武帝が寵姫・李夫人を亡くしたのち、道士に反魂香を焚かせ、煙の中にその姿を見たという故事が最古とされ、唐の詩人白居易の『李夫人詩』に詠まれている。原料は西域に生えるという反魂樹(返魂樹)の根とされ、『本草綱目』は疫病死者でも豆粒ほどを焚けば再び生き返ると記す。
Traits
立ち上る煙の中にしか姿を映さず、手に取ることも触れることもできない。効き目は香が燃え尽きるまでで、原料となる反魂樹は西域の一角にしか育たないとされるため、そもそも香自体を手に入れることが極めて難しい。