娘に求婚する、大三島の岩の主

大蛸の足

一本、また一本と、足は減っていく。それでも腕の中の娘だけは、最後まで手放さなかった――大三島の海は、今日も静かにその名を隠している。

大蛸の足 figure art

Danger and Rarity

S
戦闘力

国や町ごと滅ぼしかねない、桁外れの力。

B
敵対性

縄張りや禁忌に触れた者を積極的に襲う。

S
稀少性

ただ一体、一度きりの怪異として語られる。

Overview

岩の主である巨大な蛸。村の美しい娘を嫁にしようとしたが、最終的に娘を抱いて海へ沈んだ。

Encounter

愛媛県大三島の漁村では、じじ岩・ばば岩と呼ばれる岩場で潮干狩りをしていると、岩の主にじっと見つめられることがあるという。見初められた娘のもとには、夜、大蛸そのものが家まで押しかけてきて嫁にと迫る。断れば村を全滅させると脅すため、応じるよりほかにない。

Lore

岩の主に見初められたお浜という娘が嫁入りを渋ると、大蛸は毎晩のように暴風を起こして脅したという。困り果てたお浜は「八本足が気に入らない、一本ずつ切って二本足になったら嫁に行く」と持ちかけ、大蛸はこれをしぶしぶ承知したと伝えられる。島には大山祇神社が鎮座し、古来「神の島」と呼ばれるほど海への畏敬が篤く、この民話もそうした土地柄を映したものとみられる。

Traits

求婚を条件付きで受け入れるだけの知恵と自制心を持ち、娘が持ち出した「足を一本ずつ切る」という取引にも、痛みに耐えて六本目まで応じ続けた。それでも二本足になってなお諦めきれず、隠し持たれた刃を逃れて娘を抱きかかえたまま海の底へ姿を消す執念深さも併せ持つ。その暴風を呼ぶ力は、姿を消したあとも海に眠っているという。

大蛸の足 cover image