背中を掻く、仏具の付喪神
如意自在
にょいじざい
掻いてほしいと願えば、願ったその一点に、爪は届く。
Overview
僧が用いる仏具「如意」が長い年月を経て化けた付喪神。孫の手のように背中の痒いところへ自在に手が届き、掻いてくれる。ただし指先が鋭く、油断すると手痛い傷を負わされることもある。
Encounter
古びた寺の物置や、使われなくなった仏具のあいだから、するりと細い腕を伸ばして現れる。背中がむず痒くてたまらない夜、頼みもしないのに音もなく近寄り、痒い一点を心得顔で掻きはじめる。
Lore
鳥山石燕は『画図百器徒然袋』に、痒いところへ思うままに手が届く如意になぞらえて、この妖怪を描いた。原型は室町期の『百鬼夜行絵巻』に見える如意の妖怪とされ、真珠庵所蔵本には爪の長い茶色の姿が、東京国立博物館本には羽の生えた別形が伝わる。
Traits
意のままに伸び縮みする長い腕と指を操り、どんなに手の届かない場所でもぴたりと掻き当てる。ふだんは人に心地よさを与える律儀な性質だが、その指先には鋭い爪が隠れ、気を許した者の肌をうっかり裂くことがある。
如意は痒きところをかくに、おのれがおもふところにとどきて
画図百器徒然袋