笑いかけて血を啜る、深山の長身
山女
山姫 / 山女郎
山でだれかに出会って、その人が笑ったら、笑い返してはいけない。松の梢よりも高いところに、抜けるほど白い顔がある。長い黒髪の奥で目が光り、口だけが優しくほころんでいる。つられて微笑んだ次の瞬間、あなたの血は音もなく吸われている。山の笑顔とは、そういうものだ。
Overview
深山幽谷にすむ。背丈が3メートル以上あり、白い肌と長い髪を持つ。目つきが恐ろしく人間離れしている。
Encounter
人跡まれな深山幽谷で、樵や猟師がふいに出くわす。松の梢を越すほどの背丈で、真っ黒な長い髪を振り乱し、抜けるように白い顔をこちらへ向けて大きく笑いかけてくる。つられて笑い返せば命がない、といって、山に入る者はこの笑みを何より恐れた。
Lore
熊本では人を見て笑いかけ血を吸い、吸われた者はほどなく死ぬといい、屋久島では生き血を啜るため、笑う前にこちらから笑え、草鞋の鼻緒を切り唾をつけて投げよと説く。高知では触れられただけで熱病を発して落命するとも伝わり、いずれも山深く分け入った者への戒めとして語り継がれた。
Traits
十二単をまとう艶やかな姿から、草の蓑を羽織る荒々しい姿まで、語られる装いは土地ごとに移ろう。目つきだけはどれも人間離れして鋭い。あまりの背丈と美しさゆえ、正気を失って山へ消えた女がこの怪になるのだ、と噂する者もいる。