雨の夜道を追い越しては振り返る、赤ら顔の童
提灯小僧
雨の匂いの中、背後に小さな灯がひとつ。追い越して振り向いたその顔は、ホオズキのように赤い。何も言わず、ただこちらを見ている。
Overview
宮城県仙台の城下に伝わる妖怪で、手に提灯を提げた少年の姿をとる。年のころは十二、三に見えるが顔は真っ赤で、しばしばホオズキの実の色にたとえられる。雨の夜、通行人を追い越しては立ち止まってじっと見つめる、この仕草を繰り返すだけの害のない怪異である。
Encounter
その姿を見るのは、城下の北にあたる堤通のあたりだという。小雨けぶる夜更け、道を行く者の背後からふいに現れて追い越し、少し先で足を止めて振り返り、こちらを見据える。通り過ぎればまた追い越して立ち止まり、これを幾度も繰り返したのち、ふっと姿を消してしまう。
Lore
この怪の背後には、土地にまつわる血なまぐさい因縁が語られる。出没地は正徳年間(1711〜1715年)に理不尽な殺人があった場所とする説があり、富岡十之介が盆火見物から帰ったのちに乱心して妻を斬り、以後その界隈で妖火が燃え上がって評判になったという逸話と結びつけて語られる。
Traits
追い越しと振り返りをただ繰り返すのみで、人に手を出すことも、言葉を発することもない。提げた提灯の淡い明かりと、ホオズキのように赤い顔だけが闇に浮かぶ。付きまとわれても実害はなく、気味悪さをこらえて歩き続けるうち、いつしか消え去って二度と現れないという。