爪先から忍び込む、山伏の使い魔
江戸の管狐
竹筒の底で、そいつはお前の秘密を、ひとつずつ数えている。
Overview
山伏や祈祷師に使役される小さな憑き物。竹筒に収まるほど小さく、普通は使い手の目にしか映らない。人に憑いてはその隠し事を探らせ、他人の過去や未来までも言い当てさせたという。
Encounter
江戸の町にも入り込み、飯田町(現在の千代田区飯田橋あたり)では、憑かれた者を診た町医・伊藤尚貞が、患者の皮膚の下から摘み出したという皮を残した。爪の先から人体へ滑り込み、毛に覆われた玉を埋めて棲みつくとされる。
Lore
松浦静山『甲子夜話』は、文政五年に大坂で得られ江戸で見世物にされた一尺あまりの管狐を書き留める。使役法は、霊山での修行を終えた山伏が金峯山や大峯で官位を授かる折、雌雄一対を竹筒に入れて渡されるものと伝わる。
Traits
憑かれた者は夜泣きや譫言を発し、熱を出し、生味噌のほかは口にしなくなる。埋めた玉をアンテナのように使って人の精気を吸うとされ、これを飼う家はクダ屋と忌まれ、七十五匹に殖えると家運が傾くと語られた。