牛を食い裂く、水掻きを持つ狼の猛獣
海狼
牛が消えた朝、谷に残るのは食いちぎられた影ばかり。五百挺の銃口が山を囲んでなお、耳まで裂けた口はにやりと笑う。足の水掻きは、逃げ道が海の底にもあると告げていた。
Overview
子牛ほどの大きさで、狼によく似た猛獣。耳まで裂けた口に鋭い牙を備え、足には水掻きを持つ。村の飼い牛を次々に襲って食い殺し、大がかりな山狩りの末に退治されたと伝わる。
Encounter
山あいの村で、夜のうちに飼い牛が忽然と姿を消す。翌日、谷間でむごたらしく食い荒らされた姿となって見つかり、猛獣の仕業として山狩りが始まる。日が暮れると、樹林の奥から一頭の獣がぬっと現れる。
Lore
備中国哲多郡釜村(現・岡山県新見市)で、二軒の家の飼い牛が夜のうちに消え、食いちぎられて山中に打ち捨てられていた。村人五百人以上が猟銃を手に二日がかりの山狩りを行い、狼に似た獣をついに撃ち倒したという。青黒い体と三寸(約九センチ)の牙、水掻きのある足から「海狼」と呼ばれた。
Traits
銃弾を浴びても一度は山へ逃げ延びるほど頑強で、青黒い体は岩のように硬い。口は耳元まで裂け、鋭い牙が並ぶ。足の水掻きは水陸を問わず動ける証とされ、獲物と定めた飼い牛を襲っては食い殺す。