赤子を抱いてと請う難産の亡霊
産女
ウブメ / ウグメ / 姑獲鳥
腕の中の赤子が、一歩ごとに石へと変わる。抱けと請うたその声に、断りきれなかった者だけが知る重さがある。
Overview
出産で死んだ女が成仏できず現れる。赤子を抱くよう頼み、抱くと赤子が石のように重くなる。
Encounter
橋の袂や辻、渡し場、海岸などの水辺に、血に染まった腰巻の女が赤子を抱いて立つ。夜、通りかかった者に「この子を少しの間だけ抱いてくれ」と声をかけ、断りきれず受け取らせる。西日本ではウグメとも呼ばれ、夜が明けると腕の中には石塔や藁打ち棒だけが残っていたともいう。
Lore
難産で命を落とし、子への執着を残した女が化したものと説かれる。『今昔物語集』には平季武が川の中で産女から赤子を受け取る話が載り、『奇異雑談集』は胎児に命があるまま母が死ぬと「子を抱きて夜行く」ものになると記す。抱いた赤子が次第に重くなるのは、母の未練が腕にのしかかるためだといわれた。
Traits
抱かせた赤子はみるみる重みを増し、耐えかねて放り出せば祟るが、堪えぬけば正体を現す。礼として非力な者に大力を授け、その怪力は代々女子に受け継がれると島原半島では伝わる。赤子を外向きに抱けば噛まれず、財宝を残して去る土地もある。石の重さに込めた試練で、人の情けを計るのだという。