触れれば祟る、忌みの田

病田

ヤミダ / やまいだ / シマツ田 / ケチ田

境の石祠は苔むして、誰が据えたかもう知る者はいない。それでも春が来れば、村人はその一枚だけ鍬を入れずにおく。実らぬ稲より、病んで臥せる身の方がよほど高くつくと、皆が知っているからだ。土の下の誰かは、今日も静かに、自分の田を見張っている。

病田 figure art

Danger and Rarity

B
戦闘力

条件がそろえば、人の命にも関わる。

B
敵対性

縄張りや禁忌に触れた者を積極的に襲う。

B
稀少性

各地に類話はあるが、遭うには条件がいる。

Overview

耕作すると病気や災難に見舞われる田。埋葬された死者の怨念が土地に憑いているとされる。石の祠で祀られる。

Encounter

東日本の農村に点在する。田の一角に小さな石祠が据えられ、それが在り処の目印となる。青森ではシマツ田、長野ではケチ田とも呼ばれ、富士山麓の集落では昔、一つの集落に必ず一つ二つはあるとされた。地元では代々そこだけ鍬入れが避けられ、忌みを知らぬ者の手へと渡っていく。

Lore

静岡県牧之原の田には、生前この田の見回りを日課の楽しみとした万法師の話が伝わる。死後も田を見守りたいと遺言して田の西の丘に葬られてより、この田を作る者には病人が出るといわれるようになった。また、田前の堀に流れ着いた生首を供養せず埋めたためだとする土地もあり、憑いた霊をねんごろに祀れば祟りは鎮まるとも語られる。

Traits

祟りは土地そのものに根を張り、鍬を入れた者の身へ病となって噴き出す。軽ければ熱、重ければ死、ときに一家をまとめて臥せらせるという。姿を見せることは決してなく、実らぬ稲と病み臥せる者だけが、その一枚のありかを物語る。田の神とも祟り神ともつかぬまま、土地の下で静かに息をひそめている。

病田 cover image