美女に化けて肉を吸う熊野の怪

肉吸い

「火を貸してくださいな」——闇に消えた提灯の先で、旅人は骨と皮だけになって朝を迎えた。

肉吸い figure art

Danger and Rarity

A
戦闘力

人の命を奪う明確な攻撃手段を持つ。

A
敵対性

人と見れば襲いかかる、強い害意を持つ。

A
稀少性

限られた土地でだけ、まれに語られる。

Overview

美女に化けて人を襲い、肉を吸い取る。正体は骨と皮だけの妖怪。

Encounter

紀州から熊野へ抜ける山道で語られる。三重県熊野市の山中や、和歌山県の果無山脈、葛川から笠捨峠へ至る北山の道が舞台となる。夜更け、提灯を提げて歩く旅人の背後に十八、九の美しい娘がすっと寄り添い、『火を貸してくださいな』と声をかけてくる。

Lore

民俗学者・南方熊楠が『紀州俗伝』に採録した。果無山で狼に袖を噛まれた直後に美女が近づいた狩人源蔵の話や、夜道で女に迫られ火縄を振り回して難を逃れた郵便脚夫の話が残る。江戸期の黄表紙『百鬼夜講化物語』では、男に寄り添って痩せ衰えさせる屋内の女として別様に描かれた。

Traits

気を許して触れられると全身の肉を吸い取られ、骨と皮ばかりの姿にされてしまう。提灯の火を奪って闇を作り出してから食らいつくといい、その正体は白骨とも、背丈二丈に及ぶ怪物ともいう。念仏を刻んだ弾や火縄の炎を何より恐れ、これを向けられると娘は踵を返して山へ逃げ去る。

肉吸い cover image